沢井製薬株式会社様

MES(製造実行システム) 実行端末
粉末や水を扱う製造室でMESを安定運用できる端末として活用。MESの確実な実行により品質管理・生産力を飛躍的に向上。

抜群の安定性・信頼性で、MES導入の最新設備の真価を発揮。

ジェネリック医薬品の製造・販売におけるリーディングカンパニーである沢井製薬様。全国の病院、保険薬局の9割以上へジェネリック医薬品を供給し、医療業界を支えておられます。近年は、日本政府が掲げるジェネリック医薬品の普及数値目標80%の達成に貢献するため、急ピッチでの生産増量が求められるなか、関東圏をはじめ全国への供給力増を目指して同社の関東工場に新たな工場設備を建設。製造を管理する「MES(製造実行システム)」の導入にあたり、システム実行端末として頑丈10.1型ノートPC TOUGHBOOK CF-19を導入され、自動化・機械化によって製造・品質管理と生産力の向上を実現しました。

写真:沢井製薬株式会社 関東工場 製造部長 永田 武俊 様
沢井製薬株式会社 関東工場
製造部長 永田 武俊 様
写真:沢井製薬株式会社 関東工場 管理部 生産管理課 マネージャー 廣田 潤一 様
沢井製薬株式会社 関東工場
管理部 生産管理課 マネージャー 廣田 潤一 様
写真:沢井製薬株式会社 関東工場 管理部 生産管理課 鵜澤 正男 様
沢井製薬株式会社 関東工場
管理部 生産管理課 鵜澤 正男 様
写真:沢井製薬株式会社 関東工場 管理部 管理課 マネージャー 中谷 直人 様
沢井製薬株式会社 関東工場
管理部 管理課 マネージャー 中谷 直人 様
写真:製造工場内部。
製造工場内部。
写真:製造工場外観。
製造工場外観。

導入の背景

粉末や水を扱う製造室でMESを安定運用できる端末として、
大手建設メーカーからの推奨で採用に。

沢井製薬様が新たな工場設備の建設を開始されたのは2011年のこと。欧米の厳しい基準にも対応した高品質と、ジェネリック医薬品を安定的に市場へ供給することを目指した生産増を実現するため、MESを中心とした製造設備の導入を決定されました。

その際、各製造室でシステムを実行するためのPC端末の選定を開始。製造室ごとに環境が違うため、それぞれの条件に合わせて端末を選定されたそうですが、粉末を扱う製造室や機器を洗浄するために水を使用する場所では、特に防塵・防水性に優れていることが必須でした。国内外の防塵・防水性を持つ頑丈なPC端末の中からTOUGHBOOKを選ばれた理由について、沢井製薬様は工場建設を請け負った大成建設株式会社様からの推奨が決め手となったと仰います。

「大成建設さんは医薬品の製造工場建設の実績が多数ありましたから、その推奨端末ということで信頼性がありました。また関東工場では、MESの中でも医薬品製造に特化した、日立グループの“HITPHAMS”というシステムの運用を決めていましたので、TOUGHBOOKはHITPHAMSでの導入実績もあると聞き、安心して採用することができました。また信頼性という点で言えば、海外メーカーよりサポートも安心でしたし、保守の延長が可能であることも魅力でした。
何より、パナソニックブランドへの信頼感も大きかったですね。なんと言っても、日本のトップ企業というイメージがありますから」。

品質管理と生産力の向上を実現するため、MESの実行端末としてTOUGHBOOKの「信頼性」「安定性」が魅力となりました。 またTOUGHBOOKの中でも大成建設様が推奨したCF-19は、画面を180度回転させればタブレットスタイルで使用可能な「コンバーチブルタイプ」であったことも、他社製品との差別化ポイントとなりました。

「他社の防塵タイプはノートPCとしてのみ使用可能でしたが、工場では手袋を着けたままで作業するため、キーボードでは入力がしづらいという場面も想定されました。将来的に、タブレットのように使いたい場面が発生するかもしれない、という可能性を考慮すると、CF-19は使い勝手がよさそうだと考えられました」。

※「HITPHAMS」は(株)日立製作所の登録商標です。

システム概要図

導入のポイント

  • 粉立ちや水濡れする場所でも使える防塵・防水性
  • 医薬品製造工場で採用実績多数の信頼性
  • タブレット風の使用も可能な拡張性

導入のメリット

「粉立ち」や長時間の「ヘビールーティーン」に耐え、
年間約35億錠規模の製造を支える。

  1. MESの確実な実行により品質管理・生産力を飛躍的に向上
  2. 作業工程をシステム管理し、作業を均質化
  3. 製造の進捗をリアルタイムに確認でき、確実性がアップ

2013年3月、総面積は東京ドーム2個分、5階建ての大規模な新・関東工場が稼働。同時に、CF-19とMESの運用が始まりました。新工場では、原料の搬入から医薬品の製造、包装、完成した製品の発送までの全てをMESによって一元管理。「旧工場とは考え方から違う」という最新鋭の工場に生まれ変わりました。以前は人力で行っていた業務の多くを自動化・機械化することで省人化と効率化を果たし、生産力は沢井製薬様の計画通りに向上。旧工場での年間約3億錠から大幅増となる、約35億錠の製造も可能な環境を整えました。

その製造フローの概要は、まず搬送されてきた原料を5階まで吹き抜けとなった自動倉庫に機械で搬入。担当者がMESの実行端末であるPCで指示を出すと、スタッカークレーンと呼ばれる搬送機械が原料を次の製造工程が行われる製造室へと運びます。各製造室では、担当者がPCを操作すると、原料を量る「秤量」や、原料を混ぜ合わせる「撹拌造粒」、粉末を押し固めて錠剤の形にする「打錠」などを行う機械が作業を実行。作業が完了すると生成物はスタッカークレーンで次の工程へ運ばれます。この中でCF-19は、「粉立ち」が避けられない製造室や水を扱う製造室に配備され、MESの実行端末として使用されています。

工場全体をこのようにMESで管理するメリットとして、沢井製薬様は、「人とモノの動線の分離」により「製造時のリスク低減が図れること」を挙げられました。「医薬品の製造現場において、人の存在はどうしても異物混入などのリスクを高める要因となります。各工程を機械化、自動化し、人とモノを分離することで、より厳しく品質を管理することが可能になりました」。

また、生産力の向上についても、人の手ではできない効率的な製造が実現しました。 「例えば、CF-19が導入されている混合の工程では、フロービンという大きな容器に200kgにもなる原料を入れて工場内を搬送し、機械でフロービンごと回転させて混合する…という作業をCF-19で管理して実施しています。旧工場では人が搬送を行っていましたが、原料がこの量にもなれば一度に搬送することすら難しかったでしょうね」。

さらにMESでは、誰でも間違いなく作業が完了できるよう、作業工程や進捗をシステムで管理できることもメリットだそうです。

「各製造室で実施する作業の工程をCF-19の画面に表示し、一つひとつ確認しながら進められるようになっています。シフトの交代時などは、前任者がどこまで完了したかが一目で確認でき、確実に次の工程から実施できます。

また、例えば秤量の工程では、作りたい製品を選ぶと必要な原料の重さが自動で設定され、機械でその重さまで自動で計量することができます。以前なら、担当者が紙の資料を見て機械を操作し、容器に粉を入れていく…という方式でしたから、それに比べるとより確実に作業が行えるようになっていますね。また自分が作っている医薬品について、リアルタイムで他の製造室での進捗も確認できるので、安心して作業が進められます」。

そして3年間、CF-19によるMES運用を行われた結果、沢井製薬様はその頑丈性能と安定性を実感されています。

「CF-19を使用している製造室は、どうしても粉立ちが避けられない環境です。常に粉が回っているわけではありませんが、やはり普通のPCでは不安があります」。
また防塵性能のほか、長時間の連続稼働でも安定して使用できる耐久性についても、改めて実感されたといいます。

「関東工場では、交代制をとりながら一部24時間稼働で製造を行っています。その間、CF-19も電源は入りっぱなしでMESを稼働し続けています。元々、そうしたヘビールーティーンに耐えられる端末という観点で選びましたが、工場稼働から3年間不具合はなく、安定して稼働できているので期待通りの性能を発揮しています」。

MESで制御された機械によって搬送や製造作業が進行。原料や製造途中の製品を保管する自動倉庫。棚の間をスタッカークレーンと呼ばれる搬送機械が行き来し、原料などを各所へ搬送する。
MESで制御された機械によって搬送や製造作業が進行。原料や製造途中の製品を保管する自動倉庫。棚の間をスタッカークレーンと呼ばれる搬送機械が行き来し、原料などを各所へ搬送する。
写真:工場内風景
写真:工場内では無線LANでCF-19とMESを連動して使用。また製造室によっては、CF-19とバーコードリーダーをUSB接続して使用。
工場内では無線LANでCF-19とMESを連動して使用。また製造室によっては、CF-19とバーコードリーダーをUSB接続して使用。

TOUGHBOOKを活用したこれからの展望

記録用紙のペーパーレス化など、さらなる効率化を促進。
MESを他工場にも展開。

沢井製薬様は今後、CF-19を活用して記録用紙などのペーパーレス化にも取り組まれていくとのこと。

「現在は、厚生労働省令で定められているGMP(Good Manufacturing Practice)など医薬品の製造管理基準への対応のため、CF-19と紙とのダブルチェックで進捗を管理しています。この紙での記録も、いずれはデータベースで一元管理することにより、効率化を図っていきたいと考えています」。

また、沢井製薬様は関東工場をモデルケースに、今後も工場新設の際にはMESを導入し、効率化を図ることを想定されています。その際、関東工場と同じく、粉末や水を扱う製造室ではTOUGHBOOKの導入も検討されているということです。

※記事の内容は、取材当時(2016年5月)のものです。

写真:MES起動中の画面。各製造室での工程が一覧で確認できる。また、作業者や作業日の登録、進捗の確認なども端末で容易に完了することが可能に。
MES起動中の画面。各製造室での工程が一覧で確認できる。また、作業者や作業日の登録、進捗の確認なども端末で容易に完了することが可能に。

導入機種