スキー連盟様

業務支援システム
スキージャンプのパフォーマンス強化に「ビデオフィードバックシステム」を活用。全日本チームをバックアップ。

導入インタビュー

導入事例「TOUGHBOOK × SNOW JAPAN 全日本スキー連盟様」

導入の背景

全日本チームの画期的パフォーマンス強化策「ビデオフィードバックシステム」

いまスキージャンプがアツイ。標高差最大140メートルにも及ぶ急勾配の斜面から、臆することなく大空へ舞うように飛ぶダイナミックさ、整った飛形の美しさなどにより多くの観戦者を魅了してきたジャンプ競技ですが、近年は日本中の期待を背負う新星が次々に登場し、さらにファンを沸かせています。2018年の平昌オリンピックで銅メダルを勝ち取った髙梨沙羅選手やヨーロッパ伝統のシリーズ戦、ジャンプ週間で日本のジャンプ男子で初となる4連勝を飾った小林陵侑選手の影響でますます注目を集めています。そんな波に乗る全日本スキー連盟のスキージャンプチームを、タフブックがサポートしていることをご存知でしょうか。

スキージャンプは急勾配の斜面からダイナミックに空へ飛び飛距離を伸ばす競技です。飛距離を伸ばすためのポイントは、助走時にどれだけスピードを上げられるか、そしていざ飛ぶときのタイミングと力強さです。これらのポイントを押さえるためには、選手本人にとって理想的な姿勢を作ることが重要だと、全日本女子チームを指導する鷲澤チーフコーチは語ります。

世界トップクラスのジャンプをするためには、自身のフォームを精密機械のように緻密にコントロールすることが必要となります。そのため、選手自身で自分のフォームを確認するため、コーチが撮影した映像を練習後に選手と見ながら指導を行うという方法をとってきました。ですが、さらなる高みを目指す全日本チームは、身体感覚の残るジャンプ直後の選手に映像情報を共有できれば、フォームの微調整が容易に行えるのではないとの結論にたどり着き、国立スポーツ科学センター(以下、JISS)が、映像共有が行える「ビデオフィードバックシステム」の開発および体制づくりに取り組みはじめました。

 

写真:急勾配の斜面のジャンプ台
急勾配の斜面のジャンプ台。
写真:JISSで開発したビデオフィードバックシステムのシステム図
JISSで開発したビデオフィードバックシステムのシステム図。

採用の理由

システム完成のカギは過酷な吹雪の中でも使えるタフなPC

コーチがカンテ(踏切台)横のコーチボックスから選手がビデオを閲覧する控室までの距離は、競技場によって異なりますが、最大で140メートル程度。この長距離を選手が着地後、約40秒間にデータ送信を完了しなければなりません。そこで、JISSのシステムエンジニアである三浦智和様は、映像データを軽いデータにエンコードしWi-Fiで送信するシステムを開発しました。 システムは順調に構築できそうに見えましたが、新たな問題が出てきました。それは、選手の様子がよく分かるよう設置されているコーチボックスが屋外にあるため、過酷な環境をダイレクトに受けるということです。そこで「TOUGHBOOK CF-20」の性能に注目が集まります。

1. 吹雪にさらされる過酷な環境下にも耐える

IP65準拠の防塵・防滴設計のTOUGHBOOK CF-20は、水や埃が浸入しやすい端子部を端子カバーで覆うなどしてホールドしてあるため、風雪の厳しいジャンプ競技場でも使用可能。

2. 冬場の気温は氷点下、夏場の30℃を超える気温にも動作

パナソニックの技術実験室にて環境試験を実施した結果では、-10℃~50℃まで動作可能。スキージャンプのように冬は氷点下、夏は30℃を超える劣悪な環境でも作業できます。

3. セカンドバッテリー装着で約10.5時間の連続使用可能

ジャンプ競技の練習は、午前と午後で続いたり、連日行われたりもするため、バッテリー切れになることもしばしば。一方でコーチの使命は選手の見守り。選手の動向を注視したいのに、バッテリーのことを心配するのは煩わしいと感じていました。その点CF-20はセカンドバッテリーが装着できるため、約10.5時間も連続使用でき、コーチも負担なく使用できます。

写真:屋外のコーチボックスでジャンプの映像を確認
屋外のコーチボックスでジャンプの映像を確認。
写真:選手控室で飛んだばかりのジャンプ映像を確認し、コーチから指導を受ける
選手控室で飛んだばかりのジャンプ映像を確認し、コーチから指導を受ける。
写真:コーチボックスに据え付けられているTOUGHBOOK旧機
コーチボックスに据え付けられているTOUGHBOOK旧機。

お客様の声

普及する「ビデオフィードバックシステム」はなくてはならないアシスタントコーチ

こうしてタフな環境に適応したCF-20を組み込んだ「ビデオフィードバックシステム」は完成し、2012年に全日本スキージャンプ女子チーム、およびノルディック複合チームを皮切りに運用が開始され、現在ではジュニアチームにまで普及しつつあります。
また、使用範囲は広がり、直後の振り返りだけでなく、クラウドサーバーにデータをあげておけば、いつでも自分のジャンプを見直すことが可能。成功したジャンプの映像を見てそのときのイメージを蘇らせることにも役立ちますし、海外遠征に行った際、過去の映像を現地のコーチに見てもらい的確な指導を受けることもできます。「ビデオフィードバックシステム」は選手に浸透しており、もはや、なくてはならない存在になっているようです。

写真:スキージャンプ女子チーフコーチ 鷲澤徹様
スキージャンプ女子チーフコーチ 鷲澤徹様
写真:国立スポーツ科学センター システムエンジニア 三浦智和様
国立スポーツ科学センター システムエンジニア 三浦智和様
写真:国立スポーツ科学センター 先任研究員 山辺芳様
国立スポーツ科学センター 先任研究員 山辺芳様

TOUGHBOOKを活用したこれからの展望

さらなる進化を目指す動画解析システムの実現に頑丈なTOUGHBOOKを活用

画期的な「ビデオフィードバックシステム」ではありますが、さらなる進化が検討されています。JISSの研究員である山辺芳様が開発を進めてきたのは動作解析システム。単にジャンプの様子を映像として記録するだけでなく、固定設置した定点の高速度ビデオカメラで選手の動きを解析することで、重心移動や飛び出しの角度といった解析情報を得ることができ、昨シーズンや世界の一流選手のジャンプと比較して、詳しい対策を立てられます。 このシステムも屋外での運用が余儀なくされるため、過酷な環境に強いTOUGHBOOK CF-20が端末として、一役を担っています。

※本製品の耐衝撃・耐振動・防塵・防滴・耐環境性能は、無破損・無故障を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。

写真:重心の移動などの分析が容易な動作解析システムではコマ送りのように画像が連なって見える
重心の移動などの分析が容易な動作解析システムではコマ送りのように画像が連なって見える。

導入機種

製品写真:TOUGHBOOK CF-20

10.1型頑丈デタッチャブルPC

TOUGHBOOK CF-20