株式会社ウエスコ様

インフラ点検レポートサービス
トンネル点検業務をITで効率化。野帳とCADの記入の二度手間を削減し、所要日数の約70%を短縮。点検精度の向上にも貢献。
	導入事例「株式会社ウエスコ様 インフラ点検レポートサービス」関連動画 01 - Panasonic
①「導入の背景・選定のポイント」
導入事例「株式会社ウエスコ様 インフラ点検レポートサービス」関連動画 02 - Panasonic
②「導入のメリット・今後の展望」

トンネル点検業務を大幅に効率化。
需要が増加するインフラ点検をタフに支える。

総合建設コンサルタントとして、社会資本整備の企画・調査・計画・設計・管理等の一連のサービスを提供する株式会社ウエスコ様(以下、ウエスコ様)。1970年の設立以来、岡山をはじめ西日本のインフラを幅広く支える中で培った技術力を強みとしながら、IT化も積極的に推進されています。この度、2014年(平成26年)の制度改正をきっかけに需要が高まっているトンネル点検業務のIT化・効率化を推進するため、システム開発大手の沖電気工業株式会社様(以下、OKI様)が提供する「インフラ点検レポートサービス」を導入。その運用端末として、頑丈10.1型タブレット TOUGHPAD FZ-G1を導入され、トンネル点検業務の大幅な効率化を果たされました。

写真:トンネル設計事業部 トンネル設計課 杉井 直人 様
トンネル設計事業部 トンネル設計課
杉井 直人 様
写真:トンネル内で頑丈10.1型タブレット TOUGHPAD FZ-G1を操作する様子
写真:トンネル点検業務でFZ-G1とインフラ点検レポートサービスを使用。従来、変状の記録に使用していたA3サイズの野帳と比べコンパクトで機動性があり、タッチペンでの記入もスムーズと好評。
トンネル点検業務でFZ-G1とインフラ点検レポートサービスを使用。従来、変状の記録に使用していたA3サイズの野帳と比べコンパクトで機動性があり、タッチペンでの記入もスムーズと好評。

導入の背景

トンネル点検の義務化で急増する点検の需要。
業務効率化をかなえる「点検現場に適したタブレット端末」として採用。

2014年(平成26年)6月、国土交通省が「道路トンネル点検要領」を策定。トンネルや2m以上の道路橋などを5年に1回の頻度で点検することが義務付けられ、全国的に点検業務の需要が増加しました。ウエスコ様でもトンネル点検業務が年々増え、今後さらなる増加が見込まれています。その一方で将来的に作業員の人手不足も予想されており、点検業務の効率化が急務となっていました。中でもウエスコ様が特に効率化を望まれていたのが、点検結果を報告する帳票作成の工程。従来は現場での目視検査や打音検査で発見した変状を野帳にメモし、事務所に戻ってパソコンでCADデータに入力するという手順を踏んでいましたが、作業にはかなりの手間がかかっていたと杉井様は語ります。

「限られた時間内に点検を終えるため、作業員ごとに自分が分かりやすい方法で素早くメモを書いています。そのため他の人がCADへ転記するのは難しく、記憶を呼び起こしながらCADへ入力するのは神経を使います。また何百枚も撮っている変状の写真を整理し、エクセルにまとめていくのですが、日付けをまたいで点検をした場合は写真データの名前や順序も変わってしまい整理に時間がかかるなどの問題がありました」。

そのような現場の悩みに対しOKI様は「インフラ点検レポートサービス」をウエスコ様に提案。これはタブレット端末とタッチペンを使ったシステムで、画面に表示された図面に野帳と同じ感覚で変状が記入でき、その記入がそのままCADデータとして使用できる画期的なシステムです。

記入したデータをクラウドサーバーを経由して事務所のパソコンへ送信すれば自動で各種提出用の帳票ができる利便性の高いシステムですが、この動作推奨端末として合わせてご提案されたのが、頑丈10.1型タブレット TOUGHPAD FZ-G1でした。導入のポイントは、まず何よりもトンネル内の粉塵や水滴などに耐える頑丈性能。以前に他社のタブレットを試験的に使用した際は、保護用のカバーでタブレットを覆って現場に臨んだそうですが、肝心なタッチペンでの記入がしづらく、点検現場には適していないと判断されたそうです。その頑丈性に加え、TOUGHPADの魅力となったのが、高輝度の液晶画面がトンネルの中と外どちらでも視認性が高いこと、システムを稼働させる上で十分な高性能なCPUを備えているという点でした。こうした現場に必要な条件を備えた端末は他にはなかったそうです。これらの選定ポイントは、現場の作業員目線でも魅力的だったと杉井様。
「点検中は水滴が落ちてきたり、打音検査の際にはコンクリート片が落ちてきたりすることもあるので、それに耐えられるのは魅力でした。また画面が明るいので暗いトンネルの中でも、出入り口の直射日光下でも見られるのが良いですね」。

TOUGHPAD導入によるトンネル点検業務の変化(所要日数7日による推移表)

導入のポイント

  • 防水、防塵、耐衝撃など点検現場に欠かせない頑丈性能
  • トンネルの中でも出入り口でも見やすい高輝度液晶
  • システム稼働がスムーズなハイスペックCPU

導入のメリット

野帳とCADの記入の二度手間を削減し、所要日数の約70%を短縮。
点検精度の向上にも貢献。

  1. 事務所での帳票作成を削減し、業務の約70%を短縮。
  2. 変状の記入、写真整理を現場で完了。転記によるミスをゼロに。
  3. 工程のシンプル化で、現場作業員の心理的負担も軽減。

ウエスコ様では2017年から、FZ-G1とインフラ点検レポートサービスを導入。まずは約700mのトンネルの点検で使用されたそうです。導入により、従来なら現場での点検から報告用の帳票作成の完了まで7日程度かかると見込まれる業務が、2日程度で完了。事務所での帳票作成作業をほぼ全て削減でき、業務日数は従来の約70%が短縮されました。

具体的な導入後の業務フローは、点検現場にてFZ-G1とインフラ点検レポートサービスを起動し、タッチペンを使って画面に変状を記入。写真が必要な変状を発見した場合は、インフラ点検レポートサービスからFZ-G1のカメラを起動して撮影することができ、画像データは図面の変状箇所と自動的に紐づけられます。そして1日の現場点検が終わるごとに、点検のデータをクラウドサーバー経由で事務所に送っておくと、その後はほとんど手直しすることなく、提出用の帳票が完成します。
膨大な画像データの整理や、手書きメモの転記といった煩雑な作業から解放されることは、点検業務に携わる方々にとっては大きな業務革新となったそうです。
「導入前は写真の整理だけで1日、CADへの転記に1~2日かかっていた作業がまるまる無くなったのは、大きな変化ですね。他社では、トンネル自体に変状箇所をメモしておいて、カメラを積んだ車を走らせて映像で記録する…などさまざまな方法で省力化を図っていると聞きましたが、その場合も映像などを見ながらCADへ入力するという工程は減らせません。それが現場で直接描けるというのは本当に便利です。また野帳に使う図面を印刷する手間や、記入後の図面をPDF化して保存する手間も削減でき、コスト削減にもつながります」。と、杉井様。

また現場でCADデータを直接作成できることが、事務所での作業に加えて点検現場での作業も軽減され、点検の精度の向上や作業員のストレスの軽減といったメリットにもつながったといいます。
現場での作業時間は限られているので、野帳への記入を何箇所かまとめて記入して、その後に写真をまとめて撮るというように、作業を進めます。しかし写真の撮り忘れは絶対に許されないので、抜けが無いように多めに写真を撮ると今度は写真整理に時間がかかってしまっていました。FZ-G1とインフラ点検レポートサービスでは一つひとつの作業を着実に速く完了できるので、以前より落ち着いて作業ができますし、転記によるミスが無く正確性も高まると思います」。

このようなインフラ点検レポートサービスのメリットを最大限に発揮しているのが、FZ-G1の耐久性と操作性です。事前の期待どおり水滴や粉塵での故障がないのはもちろん、内蔵バッテリーのみで1日の作業を遂行するタフさを発揮。加えて、実際に点検業務でFZ-G1を使用された作業員の方からは、画面の視認性の良さとタッチペン記入のスムーズさに好評をいただけたそうです。野帳の方が書きやすいのではという懸念に対し、杉井様からは導入前と比較してこのようなメリットも教えていただきました。
「野帳で記入していると水滴や粉塵などで図面が汚れてしまって読みにくくなることがよくありましたが、FZ-G1は水や汚れに強く、記入がスムーズです。また、トンネル内ではよく突風が吹くので図面が飛ばされそうになるのを気をつけながら作業していたのですが、FZ-G1とインフラ点検レポートサービスならその気兼ねもなく作業に集中できますね」。

写真:変状の記入中の様子。事務所でCAD入力していた際は、変状の種類ごとにレイヤーを分けて管理していたが、こちらは記入前にペンの色を選ぶだけとスムーズ。また、点検要領が変更になった場合、OKI様のクラウドサーバー経由で最新の要領に自動更新されるため、手間をかけずに更新漏れを防止
変状の記入中の様子。事務所でCAD入力していた際は、変状の種類ごとにレイヤーを分けて管理していたが、こちらは記入前にペンの色を選ぶだけとスムーズ。また、点検要領が変更になった場合、OKI様のクラウドサーバー経由で最新の要領に自動更新されるため、手間をかけずに更新漏れを防止。
写真:FZ-G1の内蔵カメラで変状部分の撮影も。デジタルカメラを持ち歩く必要がなくなる上、撮影した写真は図面上の変状箇所と自動で紐づけられ、注釈の記入もその場で完了。
FZ-G1の内蔵カメラで変状部分の撮影も。デジタルカメラを持ち歩く必要がなくなる上、撮影した写真は図面上の変状箇所と自動で紐づけられ、注釈の記入もその場で完了。

TOUGHPADを活用したこれからの展望

追加導入や、橋梁点検業務での導入も予定。
点検現場での新人教育などへの活用にも期待。

このような効率化の実績を受けウエスコ様では今後、トンネル点検業務での導入台数増を予定されており、さらには橋梁点検業務を担当する別の課への導入も検討されています。
「橋梁の点検業務でもトンネルの場合と似た課題があると考えているので、導入することで効率化へ効果があるはずと考えています」。
と、杉井様。また、インフラ点検レポートサービスでは、一つの現場にFZ-G1を持った作業員が二人以上いる場合、Wi-Fi通信で記入中の画面を共有することも可能です。その画面共有機能を使って、ベテランの作業員が離れた場所からでも新人の作業員の記入を見て指導できるという活用ができることにも、杉井様は期待を寄せられています。
「点検の仕方や記入の仕方など、やはり慣れが必要な部分がありますから、記入画面を見られるというのはとても良いと思います」。
業務の効率化をはじめ貴重なノウハウの継承まで、インフラ維持管理業務の発展に、FZ-G1とインフラ点検レポートサービスの組み合わせは今後さらなる活躍の兆しを見せています。


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インフラ点検レポートサービス

  • 製品名 : インフラ点検レポートサービス
  • 企業名 : 沖電気工業株式会社様

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