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開閉会式 プロジェクションマッピングの「舞台裏」

東京2020オリンピック・パラリンピック

東京2020オリンピック・パラリンピックのオープニングとラストを飾った開閉会式は、世界最大級のスポーツイベントを象徴するシーンとして世界中の人々に記憶されました。その成功を、パナソニックは多くの演出・放送機材の提供によってサポート。中でも高輝度プロジェクター「PT-RQ50KJ」で映し出されたプロジェクションマッピングは、セレモニーを鮮やかに彩り大きな話題となりました。

この「失敗できない」メガイベントのセレモニー演出を成し遂げた機器の開発と設置・運用にあたって、パナソニックならではの技術や知見・ノウハウがどのように活かされたのか。実際の現場にはどのような要望や課題があり、それがどんな工夫によってクリアされたのか。スポーツ、エンターテインメント、イベント、放送、映像などの業界に関わる事業者、クリエイター、オペレーターの方にとっては気になるところではないでしょうか。

東京2020オリンピック・パラリンピックの開閉会式が実施されるまでの開発秘話やエピソードも交えながら、パナソニックのプロジェクター機器とソリューションをご紹介します。



 

実現すれば世界が変わる? 5万lmの高輝度×省スペース性の両立


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東京2020オリンピック・パラリンピックの開閉会式で使用されたプロジェクターは、パナソニックのハイエンド機種「PT-RQ50KJ」。5万lm(ルーメン)という世界最⾼輝度とネイティブ4Kの高解像度を備えた、業務用レーザープロジェクターです。

※2021年7⽉現在。150kg以下(レンズ含まず)のプロジェクターにおいて(当社調べ)

開閉会式の会場となった新国立競技場では、セレモニーの演出チームからの要望もあり、およそ1万㎡という広範囲への投写が求められました。これはプロジェクションマッピングを使用した過去の大会と比べても、最大規模の投写面積になります。単純に考えればプロジェクターの台数を増やして対応することになりますが、機材の設置スペースを最小限にしたいという競技場側の要望もあり、「明るく」かつ「小型」の両立が求められました。

PT-RQ50KJ

この明るさと小型の両立は、実は今回の東京2020大会をターゲットに開発が進められたものではなく、前々からパナソニック内部でチャレンジ目標として掲げられていたもの。展示会などで発表された5万lmの初期プロト機は筐体がかなり大きく、来場されたお客様には「これが3万lmの機種と同じ大きさになれば、世界が変わる」との声をいただいていました。この期待に応えるため、プロト機からほぼ1/2という大幅なダウンサイジングを実現し、「PT-RQ50KJ」は誕生したのです。


プロジェクターイメージ

 

「明るさ」と「小型化」はいかに実現されたのか?

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「日本の赤を世界へ」の思いを込めた、赤色レーザー実装と広色域化への挑戦


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「PT-RQ50KJ」を使ったプロジェクションマッピングの中でも、関係者が「プロジェクターの性能が発揮されたシーン」と評価する演出の⼀つが、オリンピックの開会式でダンサーたちが赤色のロープで結ばれながら踊る場面。ここで発揮された「性能」とは、実物のロープと共鳴するように投写された無数の赤い線の鮮烈な発色でした。

「PT-RQ50KJ」の大きな特性の一つが、この「赤」の再現性の高さ。パナソニックでは従来からプロジェクター開発の中で求めてきたテーマでした。また、日本開催のオリンピック・パラリンピックで映像演出を担当する以上、国を象徴する色でもある「赤」をきちんと表現することは避けて通れない課題でもあり、美しい色再現を可能にする技術開発が進められました。

「赤」の再現性の高さ

プロジェクションマッピング投影イメージ

またプロジェクションマッピングの映像はコンクリートや金属、ガラスなど多様な素材に投写されるため、投影先の材質や色味によっては色が吸収・拡散され、どうしても色が薄く出てしまうことがありました。それでは映像の迫力が損なわれるため、従来はプロジェクター台数の増設でカバーするしかありませんでしたが、パナソニックは「色の再現範囲を広げることで発色のクオリティを守る」という方向でのソリューションを模索。その中で着目したのが「赤色レーザー」の活用でした。

しかし赤色レーザーは温度によって色味が変化してしまうなど繊細で制御が難しく、それをどう使いこなして色域を広げるのか、かつてない映像表現を実現する挑戦が始まったのです。

 

鮮やかな演出を可能にした「⾚⾊レーザー」の秘密とは?

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臨場感のある高精細映像を支えた、プロジェクターの振動対策


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「PT-RQ50KJ」はパラリンピックの閉会式で話題となった「フィールドいっぱいにモデルの表情が映し出される場面」をはじめ、それに続く多様な人々の顔が次々に投写される演出でも高精細な映像を実現。「あれだけ大写しになると解像度の善し悪しが如実に出てしまうが、今回は納得のいく画質が得られた」「平昌2018冬季オリンピックのセレモニーでも同じように人の顔をモチーフにしたプロジェクションマッピングがあったが、技術と映像の進化がよく見て取れた」と関係者も評価するパフォーマンスを発揮しました。


フィールドいっぱいにモデルの表情が映し出される場面イメージ

こうした大規模イベントでのプロジェクションマッピングにおいて、大敵になる要素の一つが「揺れ」です。プロジェクターを設置する足場や建物がわずかに振動するだけでも、数百メートル先に投写される映像にはかなりのズレが出てしまいます。まして今回の開閉会式は大会史上最大規模の投写面積。ネイティブ4Kの高解像度を最大限に活かしきるためにも、振動への対策が求められました。

「PT-RQ50KJ」ではレンズを固定するマウンターの強度を高めることで振動対策を進めましたが、3万lmよりも表示素子が2倍にもなる5万lmではレンズの重量も重くなるため、「しっかり支えながら安定もさせる」マウンターの開発は簡単ではありませんでした。また、固定力を高めすぎると「レンズ交換がスムーズにしづらくなる」というデメリットもあり、運用面での使い勝手も考慮した振動対策が進められることになりました。

 

高精細映像とスムーズな機材運用を支えたレンズの振動対策とは?

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制約の厳しい設置条件をクリアする、プロジェクター運搬・設営の負担軽減と効率化


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東京2020オリンピック・パラリンピックの開閉会式では、約60台の「PT-RQ50KJ」が新国立競技場に設置されました。「なるべく客席を潰したくない」といった会場側からの要望や、機材を置くにあたっての重量制限などクリアすべき要件も多く、プロジェクターの運搬・設営に関しても試行錯誤が求められました。


プロジェクター設置イメージ

プロジェクターの設置場所は、一番高いところで観客席最上段の5階部分。しかも競技場の躯体や備品を傷つけないよう、クレーンなどの運搬機械の使用はNG。こうした条件のもと、60台ものプロジェクターを人の手で運び上げて、さらにタワーを組んでその上に設置するという難題を乗り越えなくてはならなかったのです。

 

条件・制約の厳しいプロジェクター設置を成功させた秘策とは?

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本番までの極めて短時間で、数十台ものプロジェクター調整を完遂


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パナソニックではこれまでもオリンピック・パラリンピックでのプロジェクター運用実績がありましたが、過去の大会と今回で明らかに違ったのは「開閉会式の会場が競技会場でもある」ということ。特に閉会式は、直前まで実施された競技が終了してから芝生が出ている状態のフィールドをスクリーンで覆うなど、設備・造作の転換がセレモニー前に行われます。そのため、プロジェクションマッピングに向けた映像投写の調整作業は、ステージなどのセッティングが完了して会場の凹凸が確定してからしか行えず、極めて短時間で済ませる必要がありました。

開閉会式の会場が競技会場でもある

また、セレモニーの演出やコンテンツの変更にともなう機材調整が発生するケースもあります。「当初の予定と違う地点にも映像を投影したい」「プロジェクターを会場を照らす照明としても使いたい」「パフォーマンスするゾーンとアスリートが座るゾーンでフィールドの色を変えたい」など、本番まで日数がない中で急きょ決まる変更にもその都度対応していきました。


開閉会式イメージ

今回の開閉会式はプロジェクションマッピングの投射面積も大きく、プロジェクターの運用台数も約60台と大規模な運用体制でした。それでもさまざまな機材調整を短時間に実行できた背景には、パナソニックが事前に準備してきたワークフローの改善と、プロジェクションマッピングに関して長く培ってきた経験値、2つの要素が深く関わっています。

 

短時間、かつ正確にプロジェクター調整が実行できた理由とは?

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オールパナソニックだからこそ形にできる、空間全体のトータル演出


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東京2020オリンピック・パラリンピックの開閉会式では、パフォーマーとプロジェクションマッピングの動きが融合するような演出はもちろん、投写される映像とサウンドをうまく連動させて表現をよりダイナミックに展開するシーンも多く見られました。その中でパナソニックは、映像と音響の両方の分野でプロユースの機材とノウハウを提供してきたメーカーならではの、トータルな空間演出ソリューションでセレモニーをサポートしました。


パフォーマーとプロジェクションマッピングイメージ

この大会に参加した経験も活かしながら、これからもプロジェクターをはじめとした製品の充実と技術開発を進め、北京2022オリンピック・パラリンピック、パリ2024オリンピック・パラリンピック、さらに博覧会などの国内外の大規模イベントなど多様な映像・エンタメニーズへのソリューション提案を続けていきます。

 

開閉会式のプロジェクションマッピング、その評価・反響とは?

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「失敗できない」を成功させるプロジェクター活用ノート パナソニックのオリンピック・パラリンピックサポート実績から

オリンピック・パラリンピック開閉会式の空間演出を支えたパナソニックのプロジェクター。その機器の特性、設置・運用のノウハウ、大会の裏側エピソード、今後の技術開発の展望など、これからのプロジェクター活用に活かせる情報・ヒントをまとめました。ぜひご覧ください。

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