写真:東京湾に打ち上げられた複数の花火を背景にしたRAMSAのスピーカー
写真:東京湾に打ち上げられた複数の花火を背景にしたRAMSAのスピーカー

エイベックス・エンタテインメント株式会社様

RAMSA音響システム
音楽と花火がシンクロする、全く新しい立体音響空間をRAMSAラインアレイスピーカーで演出。

課題

屋外会場で“包まれるような”音場をつくり、花火の音に負けない音響演出がしたい。

解決策

指向性に優れたラインアレイスピーカーを分散設置し5.1chサラウンドを実現。音響シミュレーションソフトPASDを活用して低域から高域まで綿密な音場設計を実施。

様々なジャンルの楽曲が流れるSTAR ISLANDの演出に適した、癖のない、バランスの取れたスピーカーです。

エイベックス・エンタテインメント株式会社
ライヴ事業本部 イベント制作グループ
ゼネラルマネージャー 坂本 茂義 様

背景

こだわりのVIPエリアに、プロオーディオシステムRAMSAのスピーカーを26台採用

STAR ISLANDは、海上から夜空に向かって約1万2千発の花火が音楽にぴったりとシンクロしながら打ち上がる、世界に類を見ないダイナミックなエンターテインメントイベントです。2017年から毎年夏に開催されている本イベントの今年のコンセプトは『2019:A SPACE ODYSSEY』。宇宙への航海をテーマに、異世界へと誘い込む幅広いジャンルの音楽が鳴り響きました。会場内はディナーエリアやBBQエリアなど複数のエリアに分かれ、中でも取り分けこだわり抜いたVIPエリアの音響システムに、16台のラインアレイスピーカーWS-LA500AWPと6台のサブウーハーWS-LA550AWP、4台の2ウェイスピーカーWS-AR200-K、そして10台のデジタルパワーアンプWP-DM948が採用されました。


導入理由

これまでの実績が評価され、VIPエリアに採用

STAR ISLANDの仕掛人であるエイベックス・エンタテインメント株式会社の坂本茂義様はこう語ります。 「STAR ISLANDの立ち上げ当初から音響に対してはかなりこだわっており、“立体音響”という、音に包まれるような3D音空間をつくり上げています。RAMSAのスピーカーは、初年度と昨年はディナーエリアで使用させていただいていましたが、その音が良かったので今年はVIPエリアに採用しました」。


導入後の効果

5.1chサラウンドで、全方位から音に包み込まれる感動体験を実現

広いVIPエリアでは、中心から左右2ブロックに分けて音場設計が行われました。1ブロックごとのセッティングは、まずラインアレイスピーカーWS-LA500AWPを前方左に3台、中央に2台、右に3台で合計8台設置。サブウーハーWS-LA550AWPは前方中央に3台横並びで設置されました。さらに、座席後方からは30cmコーンの2ウェイバスレフ型スピーカーWS-AR200-Kをポール取り付けで左右2か所に配置。同様の構成でもう1ブロックもセッティングしました。これにより、どの席にいても360度包まれるような音空間をつくり上げ、STAR ISLANDのテーマである5.1chの“立体音響”を実現しました。

STAR ISLANDの音響プロデューサーであり、あらゆる音源を立体音源化する3Dエンコード技術『KISSonix HDFX』の開発者である伊藤カズユキ様(キスソニックス株式会社)はこう語ります。「今回STAR ISLANDの全音源を『KISSonix HDFX』でエンコードし高解像度な立体音源をつくりました。RAMSAはKISSonixの立体音源と大変相性が良く、位相制御が優れていてチャンネルセパレーションも良いため非常にクリアに聞こえました。つくり込まれた室内の音響設備で聴く場合と、STAR ISLANDのような広い屋外で聴く場合では差が出てしまうことは想定していましたが、RAMSAは部屋で聴いた音を実に見事に再現してくれました。今回はサンプリング周波数48kHzで処理していましたが、もっと高くしたらより一層RAMSAの効果が出るとも感じました。聴いていて気持ちの良い音の“基礎”となる音響システムだと思います」。


写真:盛大な花火の前でショーが行われている3枚の写真

STAR ISLAND公式写真より。

写真:東京湾前の会場。遠くにビル群があり、手前に海、芝生の陸、段差をつけた観客席には白いシートと机が置かれている広いVIPエリアがある。

広いVIPエリアは左右2ブロックに分けて5.1chの音場づくりが行われた。

写真:会場に設置されたRAMSAスピーカー

スピーカーは全てIPX4防まつ型(JIS C 0920)の防滴対応。

写真:3台並んで設置されたサブウーハー

サブウーハーWS-LA550AWPを3台並べ、センターにはWS-LA500AWPを2台スタック。

写真:3連のWS-LA500AWPが2セット、VIPエリア中央に向けて設置されている様子。

VIPエリア中央に向けて設置された3連×2セットのWS-LA500AWP。

写真:2ウェイスピーカーWS-AR200Kが座席後方に設置されている様子。

座席後方に配置した30 cm 2ウェイスピーカーWS-AR200-K。


高域も低域も聴きやすく、癖のないバランスの取れた音

音楽と花火のシンクロは、音源に埋め込まれたタイムコードに合わせて花火を打ち上げることで実現しています。その中でも、順番に打ち上がる花火とともにスピーカー1台1台をパンニングさせるシーンがあり、RAMSAの優れた指向性が発揮されました。キスソニックス株式会社の伊藤様は、「パンニングの際は、指定のスピーカーに確実にパンするよう細かく音源をつくりました。各エリア何度もループ再生をしてテストを行いましたが、RAMSAで鳴らすと非常に上手くいきました」と話します。

また、エイベックス・エンタテインメント株式会社の坂本茂義様は、RAMSAの音についてこう語ります。「STAR ISLANDでは、ポップスやクラシック、ダンスミュージック、ワールドミュージックなど、お越しいただく方全員が楽しめるよう、年代もジャンルも全く異なる様々な楽曲を選定しています。RAMSAのスピーカーは癖がなく、高域がとても聴きやすい。低域独特の不快感も全くありませんでした。特別イコライジングを掛けなくともバランスの取れた音が出るので、多様な音源が再生されるSTAR ISLANDに親和性の高いスピーカーだと感じました」。

高分解能の音響シミュレーションソフト(PASD)で正確な音場設計を実現

音場設計は、音響シミュレーションソフトPASDを用いて調整を行っていきました。PASDはアレイ構成や配置検討など現場に入る前の事前シミュレーションから、現場に入った後の音響測定、調整までを一括で行える無償ソフトウェアです。これにより、事前に想定した設計と実際の現場との不一致という、よくあるこれまでの課題を大幅に減らし、素早く正確な音場づくりが可能となりました。

高機能DSPを内蔵したデジタルパワーアンプ

VIPエリアに配置された全26台のスピーカーやウーハーは近接するコントロールルームに用意された10台のデジタルパワーアンプWP-DM948に接続されました。WP-DM948は定格出力1200W×4chの大出力でありながら1Uのコンパクトサイズのため、特設会場でも簡単に持ち出して運用することが可能です。また、32bit浮動小数点の高度な演算能力を持つDSPを内蔵し、最適な音場補正を実現。さらに、ノートPCにインストールした「WP-DM900シリーズ用リモートコントロールソフト(無償)」により、出力先スピーカーの割り当てやゲイン、位相、ディレイ、イコライザーなど各種設定を遠隔で制御でき、スピーカーの目の前で音源を聴きながら効率の良い事前設定が可能となりました。


写真:パソコンで音響シミュレーションソフトPASDを設定している男性のうしろ姿。左手奥にスタンドに設置された測定用マイクが置かれている。

音響シミュレーションソフトPASDの設定シーン。左手奥のスタンドが測定用マイク。

写真:音響シミュレーションソフトPASDの測定画面

PASDの測定画面。FIRフィルターにより位相を崩さずに最適な特性に自動調。

写真:パソコン画面に映し出されたWP-DM900シリーズ用リモートコントロールソフトの設定画面の様子。

WP-DM900シリーズ用リモートコントロールソフトの設定画面。

写真:数台のデジタルパワーアンプWP-DM948が格納されているラック。無数のケーブルが接続されている。

デジタルパワーアンプWP-DM948。ラック左側がスピーカーに、右側はサブウーハーに接続。


システム構成

スピーカー配置図

スピーカー配置図:1区画16席が左右2つ並んだ観客席。各区画の前方左右に3つのラインアレイスピーカーWS-LA500AWPを配置し、前方中央にはラインアレイスピーカー用サブウーハーWS-LA550AWPを並列に3台配置さらに、WS-LA550AWPの後方に2台のラインアレイスピーカーWS-LA500AWPが配置されている。各区画後方左右には30センチ2ウェイスピーカーWS-AR200-Kが配置されている。

導入システム

  • ラインアレイスピーカー WS-LA500AWP×16台
  • ラインアレイスピーカー用サブウーハー WS-LA550AWP×6台
  • 30cm 2ウェイスピーカー WS-AR200-K×4台
  • デジタルパワーアンプ WP-DM948×10台

今後の展望

今後もパナソニックさんの様々な技術で一緒に感動体験をつくっていきたい

STAR ISLANDは、日本古来の伝統文化である花火をアップデートすることで、全く新しい感動体験が生まれるのではないかという着想からスタートしました。そしてそれを体験した人は、以前までとは違った価値観や新しい気付きを得ることができるのではないかと考えたのです。『2019:A SPACE ODYSSEY』をテーマに掲げた今年の開催日は奇しくも7月20日。アポロ11号が人類初の月面着陸に成功したその日でした。来場された皆さまに宇宙への航海を堪能していただこうと、立体音響は特に力を入れました。STAR ISLANDの立体音響は単に音が全方位から聞こえるのではなく、目を瞑るとそこに無かったはずのモノが存在する感覚、音とともにモノが移動するような、不思議な感覚をもたらします。新聞やテレビなどで度々紹介していただいていますが、言葉でも映像でも伝わらない、体験していただいて初めて分かる異空間になっていると思います。STAR ISLANDはこれからも良いものがあればどんどん吸収し、より一層の感動体験をお届けしていきます。パナソニックさんは音響はもちろんエンターテインメントにおける様々な技術をお持ちだと思いますので、今後も多方面でご一緒させていただけたら嬉しいです。

RAMSAとKISSonixとの新しいコラボレーションを実現してみたい

RAMSAのスピーカーは、高域は品が良く、よく伸びて耳に心地よく響きました。低域はブーミーに鳴り過ぎず、ガツガツ来ない感覚がとてもSTAR ISLANDにマッチしていると感じました。本番3日前の音出しの際、VIPエリアでRAMSAの音を聴いてから他のエリアを確認して回ったのですが、最初に聴いたRAMSAの音が圧倒的に良かったため、他のエリアもそれに近づけようと時間を掛けて色々と調整してしまったほどです。上を見るとそれ以下にはできない性分でして、おかげ様で最終的には全てのエリアが満足のいく音になりました。KISSonixの立体音源とRAMSAの音が非常にマッチしていたので、「例えばもっと巨大なコンサート会場だったらどんな音空間になるか」、「このラインアレイの新しいセッティング方法はないか」など、色々と想像が膨らみました。ラインアレイとは違った方式のPAも聞いてみたいとも思いました。RAMSAが持つテクノロジーは素晴らしいので、今後どこまで高みにのぼっていくのかとても楽しみです。ぜひ、KISSonixとの新しいコラボレーションを実現してみたいですね。

写真:坂本 茂義 様
エイベックス・エンタテインメント株式会社
ライヴ事業本部 イベント制作グループ
ゼネラルマネージャー 坂本 茂義 様
※所属は納入時のものです。
写真:伊藤 カズユキ様
キスソニックス株式会社
3D音空間プロデューサー・デザイナー
伊藤 カズユキ 様
※所属は納入時のものです。

お客様紹介

写真:盛大な花火をバックにパフォーマンスする演者の様子。

五感を刺激して感動体験を提供する“感覚拡張型エンターテインメント”

エイベックス・エンタテインメント株式会社様が開催するSTAR ISLANDは、日本古来の伝統文化である花火を軸に、3Dサウンド、ライティング、ショーパフォーマンスを融合させた未来型花火エンターテインメントです。日本での公演の他、2018年末にはシンガポールでカウントダウンイベントを実施。2019年9月にサウジアラビアで初開催をいたしました


関連機器・サービス

製品写真:WS-LA500AWP

ラインアレイスピーカー WS-LA500AWP

劇場・イベントホールに求められる音響特性を実現。理想的線音源を追求した屋内用RAMSAラインアレイスピーカー。


製品写真:WS-LA550AWP

ラインアレイスピーカー用サブウーハー WS-LA550AWP

大空間に最適な30 cmコーンスピーカー2台を搭載したバスレフ形サブウーハー。


製品写真:WS-AR200-K

30cm 2ウェイスピーカー WS-AR200-K

RAMSA Auditorium Seriesの [AR series] 2ウェイバスレフ形スピーカー。


製品写真:WP-DM948

デジタルパワーアンプ WP-DM948

高機能DSPを内蔵した4チャンネルデジタルパワーアンプ。Dante オーディオネットワークに対応。